アンギョンハセヨ。

韓国の漫画家・高慶日(コ・ギョンイル)先生が学部長を務める祥明(サンミョン)大学マンガ・アニメーション学部の招請で韓国に行ってきました。場所はソウルから100キロくらい離れた忠清南道の天安(チョンアン)という地方都市。KTXで40分弱くらいですから、東京から高崎・宇都宮くらいの距離ですね。

大学のゲストハウスに着いたのは夜8時。実は出発直前まで原稿と格闘していたのでフラフラ。それでも夕食はやっぱり韓国名物「どんどん出てくる」でした。






翌日は祥明大学キャンパスで高先生のゼミ見学と全国の中高生マンガ公募展の審査。






祥明大学。もとは女子大だったそうですが、今は芸術系の大学という風情。






高先生のデスク。さすがに「学部長」なのだと再認識。


僕はハングルがわからないのでカートゥーンの審査に加わりましたが、驚いたのはその画力。韓国ではマンガ・アニメーション系の進学コースが確立しているとは聞いていましたが、とにかく巧い。通訳をしてくれたユジンさん(メガネっ娘)からは
「韓国では試験に受かる為の『入試マンガ』なんて自嘲気味に学生は言ってますけどね。」
なんて裏話も聞きました。複雑だなぁ。

さらには、高先生のゼミの授業内容。課題は3時間で資料を駆使して「チベット弾圧問題」を1コママンガに仕上げるというものなのですが、これがまた凄まじくレベルが高い。全部紹介したいところなのですが、僕が気に入った作品を一点だけ。






「こちとら少林拳の発祥地じゃい!」とダライ・ラマ胡錦濤にハイキック。しっちゃかめっちゃかの「小林サッカー」というアフォな感じがグーです。



特筆すべきもう一点は、韓国女子大生のメガネ装着率はゆうに50%を越えるかという「超・メガネっ娘大国」であること。思わず「アンニョンハセヨ」ならぬ「アンギョン(眼鏡)ハセヨ」と呟きたくなる夢の国。



2日目からは学生のスケッチ旅行に同行して韓国北東部の名勝へ。雪嶽山(ソラクサン)という霊峰と束草(ソクチョ)という港町。






雪嶽山。韓国焼酎の謳い文句にある名水の山ですね。





朝鮮戦争の激戦地であったことをうかがわせる戦勝記念碑。





束草港。のどかですが、度々北朝鮮の工作艇や潜水艦での侵入地点となった港。地理的には南北境界の至近距離です。一般的な韓国旅行ではまず行くことのない場所に行けたのは感激。


宿泊先のホテルでは、学生達を前に講演ww…もっぱらエロマンガの話をしたのですが、大暮維人エロマンガ出身というくだりで学生の食いつきが激しくたじたじ。白竜の「光州City」を紹介しようとしたのですが音響設備の不調であえなく断念。



4日目にはソウルでの用事を済ます為、早朝から3時間半かけてソウルに直行。

韓国劇画界の重鎮・李賢世(イ・ヒョンセ)先生と香港サミット以来の再会を果たしました。目的は今秋計画している京都での「マンガ表現の自由シンポジウム」への出席要請。






李先生とのお話が終わった後、残り一日でソウルでの残りの目的を果たそうと走り回ります。当初の目的地・「弘大入口(ホンデイッグ)駅」近くの「漢陽文庫(ハニャンムンゴ)」ではなく、李先生に教えていただいた地下鉄7号線「上道(サンド)駅」に新しく出来たマンガ専門店「COMIC COZZLE」に向かいます。



上道駅の一番出口を上がってすぐ。「白山文化社」という出版社の1〜2Fが「COMIC COZZLE」です。






一階はカフェになっていて、二階がメインフロア。「ハニャンムンゴ」と大きく違うのは、本棚の分類が日本式で非常に探しやすいところ。「ハニャンムンゴ」や「ヨンプンムンゴ」の雑然とした本棚を宝探し的に見て回るのも面白いのですが、「COMIC COZZLE」は日本人にはとっても使いやすい。店長さんは野田さんという方で、ジュンク堂書店からヘッドハンティングされて韓国に渡ってきた方でした。一応、お目汚し程度のサインを描いて献呈して参りました。

最後の晩に日韓オタク文化研究の第一人者・宣政佑(ソン・ジョンウ)さんと飲みました。念願だったエイヒレの韓国風刺身が食えたのも感激。韓国の「2ちゃんねらー」ともいえる「NEVER厨」=ネチズンとねらーの共通性の話とか、日韓のオタク文化交流など、かなり熱い話をしてきました。

帰国当日。夕方の便までぎりぎりソウル観光。明洞のカトリック大聖堂のミサをあずかってきましたが、肝心の大聖堂は改修工事中。くすん。






気を取り直して南大門市場へ。至る所に「アンギョン(眼鏡)」の看板。思わずここでも「アンギョンハセヨ」。





そこで見つけた「♪空にそびえる鉄の城〜♪」……って、ちょっと、いや、かなり違う巨大ロボット。

こっこ…これが噂に聞く「テッコンV」の勇姿!!!






……というわけで、次回は「テッコンV」から始まる韓国マンガの戦利品について語ります。