沈没する町並み。

観光地というわけでもないので、ただ直行で向かっても旅っぽくないし。なので、阿佐谷から拝島回りで八高線というてっちゃん好みのルートを利用。高麗川の乗り換えではそれらしき方々が撮影を。東京近郊でディーゼル車ですよ!




一時間に一本の列車は超満員。多くは寄居から長瀞秩父に向かうハイカーでした。4時間弱もかけて高崎に到着。昼食は学生時代によく食った朝鮮飯店で焼き肉と冷麺。




高崎駅前はすっかり変貌していました。キレイにはなったけど、何か違和感が。街を歩く人の少なさ。群馬県の少年少女のヤンキーやらhip-hopやらがどしゃめしゃに混じったファッションに圧倒される。コーディネートというものをシカトしきってます。パープルとかアシッドイエローとかセルリアンブルーとか…目がチカチカ。…地方都市って、そういうことなのか。

バスでかつて在籍した高崎経済大学へ向かう。学生寮は既に跡形もなく、閑散としたキャンパスを眺めても何の感慨もない。早々に退散し、目的のひとつであった筑縄の「大和屋珈琲店」へ。ここはつまらなかった学生時代の数少ない思い出の店。プレハブの店舗に炭焼きコーヒーの香りが漂い、品の良い焼き物が併せて売られていた。ここの珈琲豆は絶品。神保町の「神田伯剌西爾」の珈琲豆にも負けず劣らず。20年前、大和屋さんの豆で淹れた秘伝のアイスコーヒーでサンプラザ中野氏をうならせた思い出がよみがえる。

さんざん迷って「大和屋珈琲店」に到着。げげ、またデカくなってる。




この「美味い珈琲豆と焼き物の店」で大成功を納めていたのだ。店内は観光客ですし詰め状態。札幌に支店と工場があると知り、実家のお土産にと考えていたのが拍子抜け。

再びバスで市内へ。「高崎中央銀座」という、かつては活気のあったアーケード街が、すさまじいことになっていた。




シャッターストリートというのはいまや地方都市の定番だが、かつての姿を知っている者としては、やはり辛い。通い詰めたロック喫茶は当時の姿のまま廃墟になっていた。多くの商店がフィリピンパブに姿を変え、「レトロな味わいの中央銀座」という垂れ幕があまりにも皮肉だった。

夕方、前橋の幻のラーメン店「光風」を目指す。前橋は高崎に輪をかけて寂れていた。新幹線が通っているだけ高崎の方がマシなのか。笑えるフィリピンパブ発見。



気が付くと、前橋の歓楽街は台北の裏通りのような妖しさを醸し出していた。「光風」の店舗跡は見つけたが、既に廃業している気配。残念無念。カミさんは疲れ果て、
「なんでゴールデンウィークの二人旅でこんな寂れた地方都市歩き倒さなきゃなんないのー!」とキレ出してしまった。いや別に、俺は楽しいんだが。なだめすかして高碕泊。(つづく)