灯台もと暗し。

実家に戻って、すぐに斎場へ向かう強行軍なのに、朝イチの「最初だから大目に見てやるけどよ、安けりゃいいってモンじゃねぇぞスカイマークエアラインズ*1!」で到着したので寝不足で空腹。弟に誘われて、30年くらい前からある近所のラーメン屋に行く。
「味確認ラーメン*2」という名のひなびたラーメン店は、かつては「とよ川」という名だった。ごくごくたまに食わせてもらえる「とよ川」の出前は、ガキにとって特別なご馳走だった。いつの頃からか店主が代わり、実家で昼飯に出前を取ることもなくなった。風の噂に、先代の主人が「味確認ラーメン」という店を市内で始めたらしい…と聞いていた。10数年後、「味確認ラーメン」は「とよ川」の場所に戻ってきていた。

「兄ちゃん、いっぺん『味確認』食ってみればいいべさ。俺、かなりうまいと思ったさ。」弟のラーメンと音楽の趣味の良さは、兄貴にとって師匠クラスだと認めている。しかし…少年時代の「ご馳走」が今もそうなのだろうか? 期待と不安に身を置きつつ「黒正油ラーメン」を注文する。

……絶品であった。まさしく、本格本流の「札幌ラーメン*3」を、久々に味わった。堕落した「札幌ラーメン」を否定して、当時はマイナーだった「旭川ラーメン」のエヴァンジェリストを自認して幾星霜。「味確認ラーメン」の味は、「とよ川」ではなく、かつて狸小路に君臨した伝説の名店「富公」の味を思い出させてくれた。必要なのは「行列に並ぶ旨いラーメン屋」ではなく「近所にある旨いラーメン屋」なのだ。ご近所と帰省先にその店があるなんて、何という幸せ者か。

……実は、月末に再び帰省するのだ。こっちは前もって予定していた旅行なのだが、望外の楽しみが増えた。一方で、当面さまざまなキビシー課題と向き合わなければならないのだが、この些細な「気づき」が勇気を与えてくれそうだ。

*1:同じ羽田〜札幌の格安航空便なら、今後はよほどのっぴきならない事情がない限りエア・ドゥを使おうと激しく決意。ヘンな社長の会社はやっぱりどこか抜けている。同じ「新規参入」でも、エア・ドゥに感じた"魂"がスカイマークには欠けている気がしてならないのだ。

*2:http://www.ramen.ne.jp/db/view.php?MiseCode=277801
http://ramen.gnavi.co.jp/shop/jp/h016300n.htm

*3:趣味の問題としか言いようがないが、僕は昔から「味噌ラーメン」が美味しいと思えない。「札幌ラーメン」が「味噌」だというのもこじつけだと思っている。「純連」「すみれ」「えぞ菊」…どれも旨いとは感じなかった。「味噌スープ」は単に「ダシ」の風味をごまかしているか、あるいは殺してしまっている。