いま、そこにある貧困。

TVの犯罪報道を観ていて気になるのは、大方の粗暴で短絡的な犯罪の背景にある「貧困」の問題を、誰一人語ろうとしないことだ。児童虐待も、DV殺人も、若者の暴力も、外国人犯罪も、つまるところ「貧困」が産み出しているんじゃないか。

景気が回復しているって?そうかもしれないが、実のところ生活困窮者や要福祉家庭を切り棄てて経済をスリムにしただけだろう?不満が反抗に結びつきやすい若年労働者のリストラを後回しにして、相互扶助という概念の希薄な中年層を真っ先に切る。クレジットやサラ金を野放しにして、ハイブリッド自動車プラズマテレビだDVDだ高級ブランドだと買わせれば、借金の督促状が山になってもモノがあるから「自分は中産階級だ」と信じ続けられる。今さら革命など起きやしないさ。労働組合は雇用確保のためにパート労働者を抑圧する。企業は終身雇用から社会保障のないパートや派遣やフリーターに切り替える。既得権益を持った者同志のせめぎ合い。全く、素晴らしい社会。

大阪じゃ、三世帯に一世帯が義務教育の学費扶助を受けているそうじゃないか。北海道じゃ高卒の就職率は実質20%を切ったそうだ。それでも、認めやしないだろう。僕も含め、浮遊階級に属するインテリやクリエイターやアーティストやジャーナリストは、一発当てれば富裕層……というドリームだけを支えに生きているのだから、貧乏人など知ったこっちゃ無い。



このやりきれない気分。

サヨクが不甲斐ないから……などと喚いても詮無いこと。

それでも、目の前にやりかけの仕事があることを、素直に喜び、全力を傾けるだけだ。