「夕凪の街」 こうの史代(同人誌)
泣いた。すんげー泣いた。「ほしのこえ」以来です。
漫画家のひねもすのたりさんに薦められて読んだ。
初出は「weekly漫画アクション」03年37号(03年9月)。
舞台は昭和30年の広島。ヒロイン・平野皆実のおだやかな、ゆったりとした日常が丹念に描写されていく。しかし、随所に挿入される「ゲンバク」の不気味な影が、10年という月日では消えない悪夢として皆実にまとわりつく。
「ぜんたい この街の人は不自然だ
誰もあの事を言わない/いまだにわけがわからないのだ
わかっているのは「死ねばいい」と/誰かに思われたこと
思われたのに生き延びているということ
そしていちばん怖いのは
あれ以来
本当にそう思われても仕方のない
人間に自分がなってしまったことに
自分で時々気づいてしまうことだ」
皆実は恋をする。同僚の打越はおだやかで優しく、誠実な男。
気持ちが通じ合った瞬間。自分の気持ちに正直になった瞬間。
頭を支配する「あのときの」暗黒と絶望。
……あぁ、いかんいかん、ネタバレしてしまう!
あとは是非、四の五の言わず読んでください。ただし、同人誌です。池袋のジュンク堂*1で直販しているそうです。それか、コミティア*2あたりに買いに行くしか。
ってか、単行本出しやがれ双葉社!ケツの穴が小せぇぞ!!
どう考えてもこの漫画は文化庁メディア芸術祭候補作品になってもおかしくない傑作だぞ!