「無知に支えられる善意」を擁護するな。

今回のイラクでの人質事件、基本的には邦人救出に全力を尽くすのが主権を委ねられた政府の絶対義務である、と思う。香田氏の無事解放を願う。でもね…断片的な情報に基づいた予断かも知れませんがね、正直、香田氏の行動はまったく理解に苦しむし、帰ってきたらしばらく立ち直れないくらいに叱責して欲しいです、ご両親には。どんなに善意からくる行動であっても、無知や、思いこみや、根拠のない自信から動く人間を「バカ」と言うのです。この前の5人については、多少の判断ミスがあったとはいえ、擁護されるべき動機があったし、不測の事態であっただろうと思えるのだが、ちょっと、今回のはひどすぎる。しかも、ザルカウィ派の犯行であれば、最悪の結果を覚悟しなければならないかも知れない。

香田氏が消え入りそうな声で「すいませんでした」と言ったことは、「自己責任」というマジックワードがもたらした闇を指し示している。生命の危険に晒されている被害者が「世間様」に謝罪する姿を見て、やりきれない気分に陥ってしまう。さすがに今回は「自作自演」とは言わないのね、誰も。「あんなバカ、死ねばいい」と思えたら、その瞬間、僕らの未来は闇に覆われるだろうさ。

そして、下の記事もまた「無知に支えられた善意」の末路かも知れない。

http://www.asahi.com/national/update/1022/013.html

本当に、この高名な反戦活動家は有機ヨードやクレオソートが「ガンや白血病に効く」と信じていたのだろう。この手合いは、僕が市民運動に関わりだした当時から、数限りなく見てきた。怪しげな民間療法を勧めるオバチャン。高価な電磁波測定器を売り込むオッサン。ユダヤ陰謀論を主張するヒッピー。ゲイパレードに参加してくるカルト宗教。ニューエイジとカルトとサヨクがごちゃまぜになることで、「反戦運動」は市民から浮き上がり、力を失っていく。「信じれば夢は叶う」だの「一人一人の思いが力になる」だの綺麗な言葉に酔った挙げ句がこのざまだ。無知と思いこみとトンデモ理論と善意の押しつけと尊大な態度を捨て去らない限り、サヨクは永遠に負け続けるよ。この件を「反戦運動に対する権力の嫌がらせだ」などと主張するのは、みっともないからお止めなさい。まるで、区長と助役が逮捕された荒川区汚職事件を「ジェンフリ勢力の謀略だ!」とか叫んでいた林道義なみにカッコ悪いです。