韓国でマンガとメガネっ娘を堪能する(1

johanne2005-10-05

ほい、無事帰国しました。韓国・富川(プチョン)市で開催された「第7回世界漫画家大会」に参加してきたです。……実際は、公式行事や観光ツアーをブッチぎって韓国マンガ漁りや同人誌即売会潜入に精を出していたのですが。

初日。飛行機から降りると仁川空港はどしゃ降り。この辺りでは珍しい大雨だそうで、降水量100?以下で大ニュースになってましたよ。宿泊先の富川高麗ホテルにチェックインして早々に開会式に向かうという慌ただしいスケジュール。大阪から参加されたマンガ家の桜水樹先生と同室と言うことになり、部屋に入るなり2人して呆然とする。




5ッ星ホテルのはずなのに、ジャグジー丸見え、シャワーガラス張り。一応引き戸が付いているけどご丁寧にのぞき穴が。どうせいっちゅうねん。……気を取り直してホテル案内を開くと……読めない。オールハングル。英文も漢字もありゃしない。会場行きのバスから眺める町中も見事なまでにハングルオンリー。初っぱなから見通しの甘さを痛感する。おまけに慌てていてデジカメ忘れるし。



開会式では富川市長や京畿道知事をはじめ、政治家がわんさか紹介される。富川市は「マンガの街」宣言をしているそうで、この大会に並々ならぬ力の入れよう。その後、富川市庁舎でレセプション。ここで初めて、通訳他のボランティアスタッフにおけるメガネっ娘率の高さに気づき、デジカメがないことを激しく後悔する。3年前、横浜で開かれたアジアMANGAサミット日本大会でお会いした李賢世(イ・ヒョンセ)先生が韓国漫画家協会会長に就任されたことも知る。緊張のせいかわからないが、この後期間中、原因不明の脂汗が止まらず往生しっ放し。



その後、京畿大学の松本真輔さんらと合流し、自由行動の打ち合わせがてら焼肉店へ。

カミさんから聞いていた「フルコース」を遂に体験する。




これが噂の「妖怪『どんどん出てくる』」! 一皿平らげると即座に新しい前菜が! おまけに松本さん曰く「ロシアンルーレット」という青唐辛子、二本目で舌を直撃! 生きながら自分の舌がタン塩になっていく地獄も経験。



2日目。午前中の講演会をスルーして、手荷物の50%に相当する自分の単行本の販売交渉。韓国では成年向けコミックの規制が厳しいとは聞いていたのだが、ウェブサイト上ではエロマンガのDLも始まっている…という情報に賭けて持ち込んでみた。……事務局サイドの困惑した表情が全てを物語る。開放どころか、現状は数年前より悪化しているそうだ。台湾はここしばらくでエロマンガが事実上解禁されたことを考えると、韓国のエロコンテンツへの保守的な態度は正直、理解に苦しむ。李賢世さんの「天国の神話」裁判が完全無罪になったとはいえ、大多数のマンガ出版社が裁判の前にケツまくってしまった事で、手を出しにくくなっているのかもしれない。



午後の観光ツアーから分離して、川崎市民ミュージアム学芸員でマンガ研究者の秋田孝宏さんとソウル市内にあるというマンガ専門書店に向かう。途中、韓国でマンガ研究、ウェブコミックのエージェントなどをなさっている宣政佑(ソン・ジョンウ)さんと連絡を取ろうとするがうまく行かない。とにかく、公衆電話が少ない。韓国も日本同様、携帯電話の普及で公衆電話がなくなっているのだ。わかっていればレンタル携帯を借りてきたのに…と再び後悔。

最初はソウルのメインストリートにある「教保(キョボ)文庫」を訪れる。巨大な地下フロアのすみっこにマンガコーナーを見つけるが、申し訳程度の点数しかない。しかもコーナーの半分はいわゆる「学習マンガ」で占められている。あとで聞いたのだが、韓国ではここ数年、「学習マンガ」ばかり売れているのだそうだ。勉強させたい親と、とりあえず何でもいいからマンガが読みたい子どもの利害が一致してと言うことかと思いきや、若い韓国人スタッフは口をそろえて「学習マンガなんて、子どもには全く人気がありませんよ。親が無理強いして買い与えているだけ。」と。他国の事ながら、韓国マンガの行く末を憂えてしまう。

その後、うろ覚えの情報を頼りに迷走するが、同行してくれた日本語通訳スタッフのおかげで、何とか地下鉄2号線「弘大入口」駅にほど近い「ハンヤン文庫」に辿り着く。ここでようやく、韓国マンガのリアルな姿に邂逅できた。







ハンヤン文庫は高岡書店とまんがの森を合わせたような作りで、日本マンガ8割、韓国マンガ2割といった構成。日韓は区別なく陳列されている。タイムリミットが迫る中、必死の形相で棚を漁る日本人オタク2名。一応、戦利品をちょこっと紹介。






10年ほど前に同じ雑誌を友人が買ってきてくれたのだが、内容は一変していた。13本中9本が韓国作家。日本でも連載しているパク・ソンウ「黒神」やヤン・ギョンイル「新暗行御史」だけではなく、全体的に非常にレベルが高い。中でも印象に残ったのは表紙のイ・スヒョンという作家。あとで宣政佑さんにも聞いたのだが、宣さんもノーマークだった新人らしい。単行本「アンバランス×2」も買ってしまいました。






当然ハングルは読めないので絵ヅラだけ追っていったのだが、女教師や美少女の同級生に主人公が囲まれてウハウハ?みたいな内容で。これがOKならエロマンガも充分イケると思うんだがなぁ。今までは、韓国の萌え系ジャンルはもうちょっと、惜しい! というレベルだったのに、ここまで来ていたのか…! と感動。もっと深追いすれば、とんでもないヤツに出くわすのは確実と思われ。

で、これも見つけたので買ってきました。






南北朝鮮が連合して日本侵略軍と戦うという「南伐」。李賢世さんの最新作です。通読した印象としては、かわぐちかいじ沈黙の艦隊」の系統ですね。よしりんマンガ嫌韓流のようなアジテーションと同列に論じるような作品ではなく、読み応えのあるエンターテインメントです。これは是非、日本でも翻訳出版して欲しい。



その他、「19歳未満購入不可」のコーナーでは、「成年向けコミック」はわずかに旧作が並んでいる程度で、日本では自由に買えるような「大人マンガ」もこちらの棚でした。セックス描写、暴力描写がある作品は自動的に19禁みたいです。「GANTZ」も「最終兵器彼女」も19禁。日本の基準よりはるかに厳しい。反対に、19禁コーナーで隆盛を誇っていたのはボーイズラブやおいでした。少女マンガでも韓国作家のBLが大人気だったり。同じエロでも扱いの差に愕然。



続編と総括はまた、のちほど。