韓国でマンガとメガネっ娘を堪能する(2

johanne2005-10-11

あいやー、第2報がえらく遅れてしまいました。前回記した「謎の脂汗」の原因が単に糖尿、高血圧の薬の飲み忘れの結果で、ここしばらくダルダルでしたのねん。

ちなみに肝心の「第7回世界漫画家大会」の紹介が全然ない訳ですが、02年横浜のアジアMANGAサミット日本大会に比べると「フェスティバル」「観光・交流」の色合いが強く、イベント自体は報告するほどの内容でもなかったりしまして。



こちらが富川市庁舎。巨大です。




で、こんなゆるキャラが出迎えたり。






僕は単行本の販売交渉とかで欠席してしまったのですが、シンポジウムではまたしても「中国代表」がやらかしてくれたようです。

http://d.hatena.ne.jp/johanne/20050419#p1

と全く同じようなシチュエーション。マンガ表現の自由について各国代表がコメントする席上で、最初に登場した中国代表が「表現の自由」とはナンの関係もないお国自慢とショーバイ話で時間を浪費。激怒した主催者側の韓国が同時通訳オン状態で中国への面罵とイヤミをぶちまける…というしょっぱいシーンがあったそうです。毎回、微妙に国際政治が影を落として、よくまぁ、10年も続けられたな…と、実行委員会サイドの先生方の努力には感嘆します。

ともあれ、今後は正式名称を「国際漫画家大会(International Comic artist Conference=ICC)」に統一し、事務局を韓国・富川市に置くこと。次回開催は07年香港、続いて08年日本・京都、09年台湾(予定)…というあたりまで決まったようです。





ちなみに冒頭のツーショット、汗だくのヒゲデブと一緒に写ってくれたのは日本語通訳チームのユジンさん。ボランティアスタッフを通じても、ソウルの街角をながめても、韓国は圧倒的にメガネっ娘大国でした。いろいろ理由は考えられるでしょうが、メガネっ娘に対するネガティブイメージが少ないというのが最大の理由でしょう。付け加えると、今回参加していた台湾チームにも多くのメガネっ娘美少女がおりまして、おいちゃんは終始挙動不審でした。



3日目、富川市庁舎前広場でのサイン会などにかり出されたあと、京畿大学の松本真輔さんと合流。秋田孝宏さん、桜水樹さん、日本マンガ塾の先生らと組んでソウルの同人誌即売会へ。

50回目を迎える「コミックワールドKOREA」は日本のデリータートーンが主催するイベントで、今や韓国最大規模だそうです。数年前、台湾でもカミさんと一緒に体験してきましたが、「ヲタクに国境はない!」と実感させられる盛況振りです。

日本のようにコスプレや展示の規制が緩いせいか、とにかく華やかです。






……セーラー服は…コスプレなのですね。






メガネっ娘メイド……ってか、「エマ」ですね、これは。



ここでようやく、ブースにいた宣政佑*1さんと再会する。しばらく見学の後、再び「弘大入口」駅へ。昨日入ったハンヤン文庫の他にも、ホンデにもう一軒、マンガ専門書店があるのを松本さんに教えられる。






このホンデという街は面白い。クラブの密集地帯で、月に一度はオールナイトで地域のクラブ全店の通しチケットで遊べるパーティーが開催されているという。僕らが着いたときも、大規模なストリートイベントが行われていた。マンガに音楽…「ソウルの下北沢or高円寺or江古田」みたいな印象。



時間ぎりぎりまでマンガを漁った後、富川市の映画村で開かれている歓送会に合流。どさくさで壇上に上らされ、欧陽菲菲の「雨の御堂筋」を歌わされる羽目に。逃げるようにテーブルに戻ると、松本さんが前述の台湾メガネっ娘に猛烈アタック中。こんなところでメガネスキー同志に邂逅。桜水樹さんが自前の生原稿を取り出し形勢逆転。うめく松本さん。確かに、この会場ではマンガ描けるヤツが最強。



深夜、ホテルまで駆けつけてくれた宣さんと合流し、飲みに行こうと一歩出た先で、李賢世先生の一行と遭遇。「よかったら、お前らも来い。」という李センセイの鶴の一声で隊列は吸収され、韓国漫画界の重鎮が居並ぶ飲み会に参加する事態に。いや、めっちゃ緊張しました。緊張しすぎてせっかく購入した「南伐」にサインしてもらうことすら忘れるほどで。



未明に戻ったホテルの部屋で、宣さんとさまざま語り合う。話はいつしか日韓の相互理解の問題へ。

「日本の嫌韓派の主張には、正直同意するしかない点もある。けれど、日本のネットで流布している情報の多くは、偏見や思いこみが混ざっていたり、怪しげなデータを鵜呑みにしたりしている。翻訳家である自分が最も危惧するのは、韓国マスコミの日本語翻訳サイトがかなりいい加減で、肝心なニュアンスが誤っていたり、抜け落ちていたりする点だ。言葉の壁が、相互の正しい理解を阻んでいると感じている。」

「韓国マスコミが反日を煽っている傾向が強すぎる。政府も支持率低下に歯止めをかけるため、感情的な反日報道を奨励しているような態度だ。大多数の韓国人は正直、どうでもいいと思っている。」

宣さんの認識は、僕の認識とほとんど大差がないと感じた。出来ることなら、もっと多くの時間を割いて、宣さんや他の韓国の人々と話し合いたいと思った。


翌日、帰国準備でうろうろしていると、今回の日本代表団を引率していたちばてつや先生の息子さんが走り回っている。間際に、厄介な問題が起きてしまった。

http://japan.donga.com/srv/service.php3?biid=2005100398098
この報道に関して、ちばプロに抗議が殺到しているという。聞けば、ちば先生はそんな話は全くしていないと。(後日、ちばプロから正式な回答が出ている)
http://chibapro.co.jp/toanippo.html
その瞬間、昨晩の宣さんの話が思い出された。この旅の中で、僕は多くのものをみて、多くの人と語り合って、新しい発見をした。理解し合えないと切って捨てたはずの国や人を、それでも、少しでも理解するきっかけになった貴重な経験だった。しかし、そんな感情を嘲笑し、足蹴にするような連中が、彼の国にも、この国にも存在するという現実をあらためて見せつけられる。苦い思いは、未だに残っている。



そろそろ、現実に戻る時間だ。それでも、マンガを描くのが僕の本業だから。


*1:宣政佑(ソン・ジョンウ)さんのサイトは http://www.mirugi.com/