もえかん。(その2)

johanne2008-06-01

「テッコンV」といえば日本の巨大ロボットアニメのパチモンとして長らくお笑いの対象になってきましたが、日本文化が制限されてきた韓国にあって、このアニメが韓国オタクに与えた影響というのは想像以上に大きいようです。このたび「テッコンV」の実写映画化も決まったそうです。なにせ今や天下の韓国映画。これがもし面白かったらどうしましょう? それでも嫌韓の方々は「あのブドウは酸っぱいんだ」と言い続けるのでしょうか?

トップに掲載した作品は韓国で入手した「テッコンV」の外伝っぽいマンガ。中年になったかつての主人公はうらぶれたサラリーマンになっていて、ひょんなことからテッコンVに再び搭乗して地球の新たな危機と戦います。ハングルが読めたらいいのですが、コマを追う限りかなり面白そう。日本のスパロボ系マンガという感じでしょうか?



続いては「アート系」で目についたマンガ。フランスのBDと松本大洋を融合したようなふしぎな味わいの作品です。




それにしても、絵だけ眺めていてもほれぼれするような出来。先ほどのテッコンVもそうでしたが、フルカラー200ページ近い単行本が1000円そこそこで買えてしまうのにびっくり。ハングル表記は横書きだし、こうしたフルカラーのマンガは対欧米戦略としては有効かも。実際、フランス辺りでは日本マンガとはまた別ジャンルとしての韓国マンガの評価が高まっているとも聞いています。



また、失礼ながら驚愕したのは、大作家である李賢世先生の新作。







これは、韓国のコンビニ「GS25」のみで販売されている一冊1500ウォンのフルカラーマンガ。李賢世の骨太劇画タッチの痕跡はあるものの、しっかりエッジの作風にシフトしてきている。ベテラン作家でも…というかだからこそ出来る柔軟性に感激しました。



また、前回韓国マンガサミットで入手して狂喜していたエッチ系マンガ「アンバランス×2」が8巻まで進んでいたので矢も楯もたまらず、前回買えなかった1巻も含めて全巻購入。






改めて気づいたのですが、このマンガの原作者であるイム・タリョンという方は日本でも「ヤングガンガン」で連載している「黒神 BLACK GOD」と同じ原作者なのですね。この原作者の作品は日本マンガへの親和性が高いように思います。



これだけレベルの高い韓国マンガは是非とも日本でも出版して欲しいと思うのですが、現実は色々とハードルがあるみたいです。COMIC COZZLEの野田店長が指摘していたのは
「韓国のマンガ家は新人も含めて、自分の作家性に強くこだわる傾向にある。そのため、日本から出版社のオファーがかかっても作品内容を詰めていく段階で破談になってしまうことが多い。日本のようにマンガ家と編集者の共同作業という感覚がうまく理解できていないようだ。」ということでした。

なるほど、それも一理ある。けれど、韓国マンガの持つ独特のアクの強さが、近年の急速な表現力の向上と相まって新たな韓国マンガの独自性を獲得しつつあるという印象も持ちました。

とにかく、うかうかしてはいられませんぞ。